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ロゴに使えるフォントの話

  • コラム
ロゴに使えるフォントの話

有名企業やファッションブランド、飲食店のブランディングとして必ず外せないロゴデザイン。
世の中にあるロゴデザインに注意して目を向けていると、企業名等のロゴタイプ部分には既存のフォントを使用ているものが意外と多くあります。もちろんただ打ち込んだだけではなく、太さや文字間、細部のアレンジ等を効かせてそれぞれのオリジナリティ感を出しているものがほとんどです。
今回は、ロゴデザインに多く使用されてきた既存の書体、なかでも使用頻度の高い欧文フォントに着目し、大きく二つのカテゴリに分けて実例を交えて紹介していきます。
フォントの中でも欧文書体は大きく分けて「セリフ体」と「サンセリフ体」の2つがあり、使い分けで様々な印象を与えることができます。

セリフ体vsサンセリフ体

活版印刷が開発された1400年代、当初使われていたブラックレター体では文字がつぶれてしまうことからこのセリフ体が登場し始めました。
セリフ体とは、セリフ(ひげ)と呼ばれる飾りのようなものがついている書体の総称のことです。日本語書体でいうところの明朝体のようなもので、ひとつひとつの文字が細く凹凸のある形が特徴的。
読みやすさもさることながら、上品さや高級感を演出するのにもうってつけです。

次々と読みやすさを追求したセリフ体が開発されていく中で、19世紀の産業革命のさなかにあらゆるモノづくりの現場で効率化を求める動きがおこり、書体の世界でもサンセリフ体が生まれました。
その後20世紀以降にデザイナーの手によって、次々とサンセリフ書体が生まれています。 「サン」とはフランス語で「ない」という意味で、日本語書体でいうところのゴシック体。 読み手に負担を与えない、視認性を重視したデザインでありつつ、太字や細字にすることで様々な表情を見せる事もできます。

セリフ体代表 ①Garamond

作:クロード・ギャラモン(仏/1510?-1561)
14世紀につくられたGaramondはヨーロッパ中に流行し、フランスの公書体になりました。
ルネサンス期に生まれたこの書体は、優雅な伸びやかさのある洗練されたデザインが特徴的。日本語のどんな明朝体とも相性がよく、数あるセリフ体フォントの中でも品の良さを表現するのに最適です。
例えばフランスの化粧品ブランド「L’OCCITANE(ロクシタン)」のロゴに採用されたり、創立当初のAPPLEのロゴに使用されていました。

セリフ体代表 ②Bodoni

作:ジャンバティスタ・ボドニ(伊/1740-1813)
18世紀にイタリアのパルマ公国印刷所の専門書体として制作された書体。高級感・エレガントな雰囲気に仕上げたいときには、やはりこのフォントです。
繊細さがありつつ力強さも兼ね備えたメリハリのあるデザインは、主にファッション業界や音楽・映画のタイトルで使用されることが多く、代表的なものは「ELLE(エル)」「Nirvana(ニルヴァーナ)」があります。

セリフ体代表 ③Copperplate

作:フレデリック・ガウディ(米/1865 – 1947)
20世紀初頭に登場したこのフォントは、角ばった幅広な形が特徴的。カッパープレートとは銅板の意味で、銅版印刷時代の書体をベースに作られています。
このフォントは、装飾的でありながらどこかかわいらしさもあり、カフェなどの飲食店やファッション業界で使用されています。
「DEAN&DELUCA(ディーンアンドデルーカ)」や「UGG(アグー)」が代表例です。

サンセリフ体代表 ①Futura

作:パウル・レナー(独/1878 – 1956)
1927年にドイツのバウハウス(総合デザイン教育施設)で非常勤講師を務めたタイポグラファーによって作られました。
Futuraとはラテン語で「未来」という意味。単に完全な円や四角などの幾何学的な形で構成されていると思われがちですが、その中にも計算しつくされた微細な視覚的調整が施されています。
モダンでありつつ高級感あふれるこのフォントはファッション系の企業ロゴによく使用されており、「Louis Vuitton(ルイヴィトン)」や「Supreme(シュプリーム)」が有名です。

サンセリフ体代表 ②Helvetica

マクス・ミーディンガー(瑞/1910 – 1980)& エドゥアルト・ホフマン(瑞/1892 – 1980)
1957年にスイスで生まれた、まさに「オールマイティ」なこの書体は、シンプルかつすっきりとしたニュートラルさが人気で、現在最も使用されているフォントの一つです。
無機質でクセがないこのフォントは多くの人に受け入れられやすいという特徴があり、コーポレートロゴなどによく用いられています。
日本でも「PANASONIC(パナソニック)」や「TOYOTA(トヨタ)」など、世界で活躍する大企業のロゴに使用されています。

サンセリフ体代表 ③Gotham

作:トビアス・フレア=ジョーンズ(米/1970-)
ニューヨークやマンハッタンの看板を分析して作られた、「ザ・アメリカ!」といった感じのフォントです。
見た通りウェイトの力強さが印象的。パワフルながらも、丸っこさからはコミカルな雰囲気も感じられ、かつ視認性も高いという万能さがあらゆるデザイナーに人気の新米フォントです。
バラク・オバマ元大統領の選挙キャンペーンポスターで使用されたことから一躍話題になったこのフォントは、日本でも「三菱UFJ銀行」のグループロゴで使用されています。

ロゴに最適なフォントを吟味しよう

今回あげたフォントはほんの一例です。歴史あるものから最近できたもの、手軽に使用できるフリーのものまで、フォントは星の数ほどあります。
膨大な選択肢の中から何をロゴに起用するのか、それをどう味付けしていくのか。それはまさに、我々デザイナーの手にかかっています。

アンツデザインでは、フォントにこだわるのはもちろん、お客様の企業や商品にあったクオリティの高いロゴデザインを提案いたします。お気軽にお問い合わせください!(制作部K)
アンツの実績はこちらから→ https://www.ants-d.com/works